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確かめたかった夏の話
確かめたかった夏の話
書いた日…2015年8月8日〜
初公開…2016年8月31日、当サイト
修正履歴…2019年7月12日
本編文字数…13756字
本作は、事実を基にしたフィクション作品です。
地名や人名は全て架空のものであり、
実在する地名や人名と同一であっても全く関係はありません。
 200X年8月某日。俺が住む街から100キロほど離れた小さな漁村で殺人事件が起きた。その漁村・M村は漁業が盛んで、魚介類の産地で名前を見るものの、ほかはとくに取り上げるところのない、いたって平凡な村だった。
 俺は友人たちとその村を見に行くことに決めた。仕事中にその殺人事件のニュースを聞いて、なんとなしに興味が湧いたのだった。最近これといって没頭するような趣味があったわけじゃないし、年々人口も減る自分の住む街もこれと言った話題なんかない。就職してから数年が経って友人たちとどこかへ出かける機会もめっぽう減った。殺人事件の起こった所へ行っていろいろ見聞きすれば話の種にもなるし、車を飛ばせば宿泊する必要もない距離であったことからも軽い気持ちで思いついた。
 仕事が終わった午後6時、職場から車で数分ほどのところで俺はいつものメンバーを待った。それぞれ仕事が違うから全員が集まることはまずないが、俺を含め5人の学生時代の友人が決まった居酒屋に集まって仕事の愚痴や他愛もない話をするのが通例となっていた。午後7時までそこで待っていて、誰も来なければひっそりと帰る。誰かがくれば軽い食事を取り、1〜2時間だべっている。俺は実家住まいなのでこの生活のせいで母親にはよく「いつになったら晩御飯が片付くんだ」と怒られる。生活費を落としているのだし、文句を言われる筋合いはないのだが。
 俺の仕事は比較的定時で終わることが多いので、件の事件の号外を持って例の店に行って友人を待った。
 見出しは「M村姉妹刺殺事件 容疑者逮捕!」

午後4時42分、M村を震撼させた殺人事件の容疑者がM村警察署に自首し、逮捕された。午後2時ころ。M村で若い女性二人が同村・無職の受山博信(うけやまひろのぶ)(24)によって殺害された。被害者は立花圭史さん(52)の長女・桃江さん(19)と次女・桜さん(14)でいずれも包丁による刺殺。詳しい死因は検死結果を待たれるが、出血性ショックによるものと見られる。被害者の桃江さんは今年の4月からA市の専門学校に通うためM村を出ていたが、夏休みで実家に帰省しているときに事件に巻き込まれた。受山容疑者は被害者宅と1軒離れたごく近所に住んでいて、近隣に住む人も「どうしてこんなことに」と困惑の表情を隠せなかった。受山容疑者は高校卒業後定職につかず、ここ数年は引きこもりがちで同居している母親の収入だけで生活をしていたという。警察の発表によると「男が家に侵入し、包丁で切りつけられ、姉も襲われている」という桜さんからの通報で事件は発覚した。桜さんは警察との通話中に殺害されたものと見られている。M村のような小さな村では住民が在宅している場合は玄関の施錠をしない場合が多く、警察の発表によると事件当時立花さんの家でも施錠がされておらず、容疑者は玄関から侵入し犯行に及んだという。凶器である包丁は受山容疑者が自宅から持ち込んだものだが、包丁を持って出歩く容疑者に気づいた者はいなかったそうだ。「畑の野菜を取りに何にも包まずそのまま刃物持って歩くおばあちゃんもいるし、もし見たとしても気にも留めなかったと思う」とM村の住民は語る。警察が通報を受けて立花さん宅へ駆けつけ、玄関から続く廊下で桃江さん、2階の自室では桜さんが発見され、現場で死亡が確認された。桜さんの通報内容と容疑者の供述から以下のような犯行内容が明らかとなった。容疑者は自宅から凶器を持って、立花さん宅へ玄関から侵入した。まず鉢合わせした桜さんを切りつけ、異変を察知した桃江さんが桜さんをかばって容疑者ともみ合いになり、桜さんはその間に2階の自室に逃げ、携帯電話で警察に通報。桃江さんと桜さん、どちらが先に亡くなったのかは判明していないが、受山容疑者は桃江さんを制圧して桜さんを追いかけた。桜さんは部屋に鍵をかけていたが容疑者はドアを蹴破って部屋に入り、桜さんを殺害。容疑者は通報中だった携帯電話を切って逃走。警察が駆けつけたときには被害者二人に息はなく、容疑者の捜索が開始された。容疑者は当初公園の水飲み場で血を洗い流すなどして逃走を試みていたようだが、警察が被害者宅へ駆けつけてから2時間ほど経って受山容疑者は警察に自首し、逮捕された。容疑者は取り調べに対し犯行内容に肯定や否定はするものの動機については支離滅裂なことを言っており、明らかにしていない。平穏そのものだったM村の住民にとって恐怖の一日となった。

 新聞を読んでいると友人の一人がやってきた。市村和樹だ。頭がいいのに高校卒業後大学に行かず、誰でもできるような仕事に就いて実家で両親と妹と暮らしている。和樹は、
「ひどい事件だよね」と新聞を指さしながら言った。「ああ」とそっけない返事をしてほかを待った。和樹はきっとM村に行くと言うと俺を諌めると思ったからだ。
「新聞読むなんて珍しいね」
 和樹はいぶかしげな顔で俺を見た。勘が鋭いというか、口うるさい母ちゃんみたいなやつだ。俺はまだ何も言っていないんだから、諌言される道理はないぞ。
 そうこうしているうちに森町将太がやってきた。将太は茶髪で精悍な顔つきで女にモテる奴で学生時代から彼女をとっかえひっかえしている。この集まりにやってくることが一番少ないのだが、「彼女にフラれちゃったからモテない同盟にまた来てやったぜ」と軽口を叩いて、どっかりと腰を下ろした。こうなれば将太は付き合いがいいからきっとついて来るだろう。
 みんな車やバイクで来ているから酒は飲まなかったが、つまみのような小さなものを頼んで、とくに久しぶりに会った将太の話を聞いた。7時になって、ほかの二人が来ないなという話が出たので俺は切り出した。
「なあ、M村で起こった殺人事件のこと、知ってるだろ?」
 和樹はもちろんと言って、またいぶかしげな顔を作った。将太は事件には興味がないが俺が言い出したことにいい反応を見せた。
「これからM村に行かないか?」
「やめろよ、そういうの」
 こう言ったのは和樹だ。予想はしていたが、間髪入れずに言うんだから俺もちょっと面食らった。
「へ〜、いんじゃない? ただのドライブでしょ」
 将太はニヤニヤしながら言った。和樹が眉を寄せて怒っているのが将太には滑稽に映ったようだ。
「何がただのドライブだよ。野次馬しにわざわざM村に行くんだろ? 不謹慎だよ」
 和樹の主張は最もだがドライブでM村なんかに行っても楽しくない。関係のない事件に首を突っ込むのは、肝試しに行くのと同じような感覚だ。自分に関係ないからこそスリルを味わい、興味を満たせるというものだ。
「和樹といるとテンション下がるわ〜」
 将太はいかにもつまらないといった感じで和樹を一瞥して俺に向き直った。
「今行っても1時前には戻ってこれるっしょ」
「じゃないかな」
 同じものを見て好きか嫌いか楽しいか楽しくないかという水掛け論になるのを避けて将太と俺は和樹を無視して話を進めた。
「ねえ、本当によくないよ。人の不幸を笑いに行くなんて」
「誰も笑うとか言ってないじゃん。ルポだよルポ」
「ルポの意味わかって言ってんの? そういうのは本業に任せておけばいいんだよ」
 テキトーな言い訳に出てきた言葉から、意地悪をするつもりで俺はこんなことを思いついた。
「和樹先生に現場の報告をするからさ、ブログに書いてよ。俺らは文才ないし」
「お前と一緒にすんなよ。俺、国語はできたよ」将太が口を挟む。
「もう何言ってんのかわかんないよ。俺はブログにそんなこと書かないよ。もう行くって決めて話進めないでよ」
「和樹は来なくていいから。文句も言わないで」
 将太がはっきりと言った。俺は和樹とケンカがしたいわけではなかったから、ちょっと言いすぎだと思った。
「俺はとめたからな」
 和樹は怒って顔を伏せた。俺はちょっと申し訳なくなった。
「行こ」
 将太は和樹のことなんか全く意に介さない様子で、立ち上がった。
「俺バイクで来たんだけど」
「じゃあいったん将太んち行こう」
 俺は立ち上がって和樹の頭をガシガシ撫でて、将太とともに店を出た。後にも先にも俺が全員分の食事代を払ったのは今回だけだった。

 将太の家にバイクを置きに寄り、俺の車に将太を乗せて男二人薄暗い郊外を走ってM村に向かった。
 夏で日も長いが、時間も時間で辺りはすぐに真っ暗になった。数メートル間隔の街灯とポツリポツリと走る車のヘッドライト以外は、明かりのない静かな道が永遠と思えるほど続いた。
 途中国道沿いのいくつかの街を抜けたが人通りはほとんどない。ここで生活をしている人がいるのかと疑うほどに夜の街は活気がなかった。終始ケータイをいじっていた将太が何度か「クソ田舎だな」と言った。
 国道でも平均して80キロは出して走っていたが警察にも止められることもとくに道に迷うこともなく、俺たちはM村に到着した。看板にダサい絵と古臭い字体で「ようこそM村へ」とあるのが妙に胡散臭かった。将太はそれをケータイで写真に撮り、和樹に送信したらしい。
 M村に入ってすぐ大手チェーンのコンビニが1軒あり、俺はそこに車を停めて、中で買い物をした。居酒屋で軽くつまみを食べただけだったので腹が減ってきたが、道中めぼしい飲食店もなかったし、せっかくの旅だがコンビニのおにぎりで済ますことにした。将太は飲み物とお菓子をたくさんカゴに入れていて、まるで遠足に行く子供のようだった。
 会計のとき店員に事件現場のことを聞いた。店員はあきらかに訝しげな顔をしたので、「ネットで記事を書いている者で」と言うとしぶしぶ現場への行き方を教えてくれた。M村は広くはないが「山側」と「海側」に別れていて、コンビニのあるほうは山側、事件現場は海抜の低い海側だそうだ。店員も山側の住民らしく、現場の住所を言っても海側のどの辺りなのかは知らないと言った。
 店を出るとケータイにメールの着信があった。和樹から俺と将太に「気をつけて帰ってきて」という短い文面のメールだった。俺は何も返信しなかったが、将太は何かを打っているようだった。
 コンビニの駐車場に車を停めたままおにぎりを3つ食べて、俺は「海側」へ向けて車を移動させた。助手席では将太がお菓子をポリポリ食べていたが、その間はとくに会話もなかった。
 村を移動中何台かテレビ局のものらしいワゴン車とすれ違った。仕事を終えて帰っていくところだったのだろう。街を歩いている者は皆無だが、住宅の明かりはまだ消えていない。海側をしばらく走っていると明かりのついていない、規制線の張られた一軒の住宅を発見した。

 「ここっぽいね」と将太が言った。「ああ」と俺は言って、現場近くの路肩に車を駐車した。正直これから何をするといった予定はない。肝試しなら何かを置いて戻ってくるとか何かを取って戻ってくるとかミッションがあるが、今回はそれと似て非なるものだ。将太はお菓子を食べるのをやめてケータイをいじりだした。
 俺が窓を開けてしばらく現場のほうを見ていると、規制線の張られた隣の住宅の玄関が開いて中から60代くらいの女性が顔を出し、こちらを指さして何やらしゃべっている。通報されるとまずいと思ったが、下手に逃げるともっと怪しまれるし、どうしようかと考えあぐねていると、向こうから男性が歩み寄ってきた。後ろではおばさんが「やめなさい」とやっている。
 「あんたたち何か用かね」
 かろうじて聞き取れたが、ひどい浜訛りで男性は言った。将太が口を開きかけたのを察して、俺は咄嗟にこう言った。
 「僕たちネットで記事を書いていて、今日ここで起こった事件の取材をしたいんですが、」
「名刺は?」おじさんは話を最後まで聞かないうちにぶっきらぼうにそう聞いてきた。
「会社名が変わって、いま名刺作り直している最中なんです。すみません」将太も俺の嘘に合わせてそう言った。
 おじさんは信じられないといった感じでこちらをにらみつけて、
「さっさとけえれ(帰れ)」
 と言い捨てて家に戻っていった。ひやりとしたが通報はされなさそうだった。
 おじさんが家に入って数分経って、将太がタバコを吸いたいと言い出した。車内に臭いがつくのは困るので、外に出ろというと将太は車外に出てタバコをふかし始めた。わざわざ運転席側に回り込んで吸わなくてもいいのに。
 真夏の夜だが風が涼しくて心地がいい。波の音も聞こえない、生活音もしない。時折遠くで車の通る音がするが、本当に静かな村だ。耳鳴りがするほどの静寂。星が天高くはっきりと見える。将太のふいた煙がそれを少しばかり遮った。
 事件現場の住宅は角の立地で、先ほどのおじさんが出てきた隣家の反対側の隣が犯人の家ということになる。犯人は母親と一緒に住んでいるということで、いま明かりのついているこの家には殺人者を生んでしまった家族が困惑のまま夜をすごしていることだろう。
 すると、先ほどの家から今度はおばさんが出てきて、こちらに向かって歩いてきた。将太が「なんだろ」と言って、タバコを靴で踏んでもみ消した。
 「取材の人なの?」
おばさんは挨拶もなしに落ち着かないそわそわした様子でそう言った。おじさんはひどい浜訛りだったが、おばさんはそれほどでもない。
「ええ」と返事をしたのは将太だ。
 俺も運転席から出て「迷惑なら帰ります」などと言った。おばさんはむしろ誰かと話したくてしかたがなかったようで、話し相手になってくれないかと言ってきた。
 よく考えればおばさんは被害者と犯人の隣人だ。なにか知っていることや、誰かに言いたいが不謹慎だからと知り合いには話せないこともあるだろう。逆に俺たちのような赤の他人のほうが話しやすいということはありえそうだ。匿名にすると言って、ケータイで録音する許可を取り、取材のていで話を聞いた。

 おばさんは事件当時はパートに出ていて、おじさんも仕事で家を空けていた。「海側」のスーパーでレジ打ちに立っていると、村内の防災アナウンスが外で鳴っているのが聞こえた。なんと言っているかまでははっきり聞こえなかったが、よく強風による高波程度で通行止めになる道路があるのでその類かと思ったそうだ。が、そこに店長があわてた様子でやってきて、「村で殺人事件が起こったそうで犯人はまだ逃走中だから、店を一時的に閉鎖すべきだろうか」ということをパートのおばさんたちに相談に来たのだ。
 おばさんは大変驚いたそうだ。しかしもっと驚いたのは休憩中だったほかのパートがどこからか情報を仕入れていて、事件の起こった住所がスーパーなんかよりあんたのうちが近いよと言ったことだった。おばさんの子供はすでに独立して村を出ていたので、自分の夫がたまたま家に戻っているところを殺されたのではないかと思って大慌てだったが(自分の夫が犯人だという発想をしないのは流石と言うべきところか)、殺されたのは女性だということ、殺したのは若い男ということなどを聞いてひとまずは安心したらしい。
 この村には一軒にひとつずつ防災無線のアナウンスを受信する機械が配られていて、定時の放送や村付近の主要道路の通行止め、地震が来たときは避難や津波の有無などを放送するのがふだんの使い方だそうだ。犯人が逃走中ということもあって、「戸締りをするように、むやみに外出しないように、警戒してください」という旨の放送が流れたらしい。
 小さいスーパーだが、客用の出入り口は2つあり、1つを閉鎖し、開けているほうには警備を(といっても店員)置くことで対応したらしい。
 犯人が捕まったことも放送された。もちろん細かいことは告げられなかったが、小さな村なので、警察官の家族からかすぐに被害者と犯人の名前が出回って、おばさんはまた驚いた。自分の両隣が犯人と被害者だったからだ。
 パートはその後、平常どおりの営業に戻った。次のシフトの若いパートが話していたそうだが、学校から児童や生徒に対して『今回の事件で取材の人がたくさん来ると予想されるが、取材には「わかりません」と言って応対しないこと』という通達が連絡網から回って来たらしい。おばさんは「私は関係ないわよね」と苦笑混じりに言った。
 おばさんと両隣は昔からそこに住んでいたので、両者を子供のころから知っていた。受山容疑者は学生時代はどこにでもいるふつうの男の子だったし、立花桃江さんとは近所で年も近いことから小さい頃は一緒に遊んでいたことも覚えていた。受山容疑者は高校卒業後、地元の企業に就職したが続かず、その後アルバイトを転々としていたが、しだいに外に出ている様子もなくなり、心配したおばさんが世間話ついでに尋ねてみると受山容疑者の母親は、「病気で仕事に集中できず、ふさぎ込んでいるようだ」と言葉を濁したという。最近ではその母親も「自堕落な生活をしていてほとほと困っている」ということを周囲に漏らしていたという。
 被害者の桃江さんは美容系の専門学校へ通うために3月から引越しの準備をしていて、4月から本格的にA市に住み始めた。M村とはバスで5時間ほどかかる(M村には電車は通っていない)。子供のころはやんちゃだったが、中学生ころから身なりに気を遣い清楚な感じで、挨拶もしっかりできた子だったという。最近では周囲も目を見張るほどの美人で、田舎にはふさわしくないとよくオチがついていたそうだ。
 もう一人の被害者の桜さんは現在地元の中学校に通っていて、姉と違ってボーイッシュで活発な子だったそうだ。バレーボールの選手で、スポーツ推薦でB市の高校に行くことがほとんど決まっていたということだった。桜さんのほうは受山容疑者とは年が離れているのもあって、接点があったとは思えないとおばさんは語った。
 数年前、立花家と受山家で言い争いがあったそうだ。なんでも、受山容疑者が桃江さんの部屋を覗いていたというのだ。おばさんの家は平屋で、立花家と受山家は2階建て。受山容疑者の自室と桃江さんの自室はおばさんの家を挟んでいるものの、向かい合わせだったらしい。桃江さんが窓やカーテンを開け閉めするたびに、受山家の2階の受山容疑者と目が合うので気味が悪いと、桃江さんが両親に相談したことが事の発端だった。
 結局、気にしすぎだということでおおごとにはならなかった。桃江さんが部屋を移ったのか、言い争いの後はとくにそういった話は出なかったそうだ。もちろん立花さん一家は納得していなかったようだが、おばさんも思春期は人の目が気になるものだから、などと諭したそうだ。
 ちなみに、立花さんの一家は父親、母親、桃江さん、桜さんと飼い犬(外犬)が一匹。受山容疑者の家は父方の祖母、母親、受山容疑者の3人家族。受山容疑者の父親は数年前に他界しているとのことだった。桃江さんが「目が合う」と訴えたときも受山容疑者の父親は入院していて自宅には住んでおらず、男性だったため明確に「誰か」名指しできたのはそのためと思われる。
 おばさんは推測の域を出ないが、と前置きした上で受山容疑者は桃江さんに気があったのではないかと言った。ある程度大きくなってから受山容疑者と桃江さんが話しているのを見たこともないし、付き合っているという話も聞かなかったが、受山容疑者が一方的に桃江さんに好意を抱き、自分に黙ってA市へ越してしまったことで恨みを買い、今回のような凶行へ及んだのではないか、と。
 桃江さんは殺人事件のあった今日より数日前にはすでに帰省していた。おばさんとも挨拶を交わしたそうだ。
 桜さんはその場に居合わせ、顔を見られたために殺された。あるいは邪魔だからと刺されたのかもしれない。桃江さんは包丁で何度も切られ廊下は天井まで血が飛んでいたという噂を聞いたそうだ。桜さん殺害は警察が来ることがわかってか、時間をかけず腹部や首などを刺し、桜さんに包丁をつきたてたまま逃走したらしい。
 受山容疑者は公園の水飲み場で血を洗い流し(もちろん綺麗には取れなかったようだが)、どこへ逃げようか考えているうちに防災無線から件の放送を聞いた。それで逃げるのは不可能と思い、「山側」にある警察署まで人目を避けながら歩いていき、自首したそうだ。
 動機について語らないのは自分の歪んだ恋心をほかの人に知られるのが嫌だからではないか、とおばさんは推測した。

 「ありがとうございました。とくに両家で覗きのトラブルがあったことは興味深かったです」
 俺はおばさんに軽く頭を下げてそう言った。
 将太は途中眠たそうにしてたが、自分が買ってきた飲料水をおばさんに渡したり、自身も水を飲んだりして眠気を紛らわせようとしていた。
 おばさんも終始早口でそわそわして受山容疑者の家のほうを見やったり、あたりに人がいないか確認するためキョロキョロしていた。話の途中、自身の声が大きいと思ったのか、はっとして声を潜めたりを何度も繰り返して、興奮した様子だった。将太が渡した水は8割方なくなっていた。
「私が言ったってこと、書いちゃダメよ」と念を押しておばさんはまたキョロキョロしながら家に戻って行った。
「もう帰ろうぜ」おばさんが家に入ったのをしっかり確認してから将太が言った。
「ああ」俺もおばさんの長い話ですっかり疲れてしまった。
 また先ほど寄ったコンビニに行き、運転中に寝てはいけないと、今度は缶コーヒーを数本買って、将太は運転する気もなく気楽なもので酒を買って、コンビニを出た。車に乗ってすぐ、将太はケータイをいじりだした。
 正直、この旅に何を求めていたのかは自分でもよくわからない。行ってみないとわからないと思った。もっとドロドロした話、ストーカー殺人や性的暴行をした上での殺人や無差別で人を殺してみたかったなどの動機を心のどこかで期待していたのだろうか。殺された若い女性の幽霊に遭遇することを期待していたのだろうか。
 俺は同世代の人間が犯した殺人という行為に興味をそそられたのだが、受山容疑者は自分とは比較しようにもできないほど、ただの落ちこぼれ人間だった。そこに彼女らを殺さなければならないほどの葛藤や覚悟は何も感じられなかった。暑さでおかしくなったんだろうと片付けたくなるほど、彼の動機はどうでもいいものだった。
 彼女が好きなら彼女が高校生のうちに声をかけたらよかったじゃないか。彼女がいなくなって悲しいなら自殺すればよかったじゃないか。関係ない桜さんまで殺すことはなかったじゃないか。無理心中のように桃江さんを殺したあとで自分も死ねばよかったじゃないか。
 受山容疑者がわざわざ今日、そして彼女を殺すことに必然性は全く感じられないと思った。もしかしたら話をしてくれたおばさんが今日家にいたら、殺されていたのはあのおばさんだったかもしれない。それほど受山容疑者の動機には確固たるものを感じられなかった。
「海見に行こうよ」
と将太は出し抜けに言った。俺の逡巡もかき消される。
「いま行っても真っ暗で何も見えないでしょ」
「えーいいじゃん。せっかく海のあるとこに来たんだし」
 酒をあおってすでに上機嫌の将太はへらへらしながら言った。
 はいはい、と俺はM村を出てすぐ横道へそれて海のほうへ車を走らせた。道路が舗装されていないでこぼこ道で、街灯もない真っ暗な中、防雪柵と防風林と畑なのか草原なのかわからないが開けたところが続く。住宅も対向車もないので視界に入る明かりは星と自分の車のヘッドライトだけだ。前後に続く車も、歩いている人も、動物もいない。異空間にでも入ったのかと思うほどの「クソ田舎」だった。
 M村の「海側」は海は海でも港だったが、村を出て少し走ったところは浜だ。よく見えないが運転席側には広大な海が広がっている。開け放たれた窓から潮の香りが容赦なく入ってきた。
「やっぱり何も見えないだろ」
「浜行こうぜ浜ー」
 将太はさらに上機嫌でそう言うが、すでに夜も11時を過ぎたころで少々面倒に思えた。
「ちょっと停めるだけだぞ」
 道路に車を停めて、二人で真っ暗な浜へ下りた。本当に真っ暗になるのでライトはつけたままエンジンを切った。
 海に近づくとざざーっと波の音がする。ヘッドライトでは海までは照らせていなかった。将太はケータイで海を撮ろうとしていたが、俺は無理だろうと思った。
 俺は将太が酒を飲んだり海で遊んでいる間、ケータイでさっき見てきたこと聞いてきた話の概要をメールに打ち、和樹に送った。村の様子やおばさんの長い話はだいぶ要約したが、満遍なく書けたと思う。送信し終わって、
「そろそろ帰るぞー」と将太に言うと「うい」と酔っ払いの返事が返ってきた。
 車に乗り込んでエンジンをかけるとほぼ同時に和樹からメールの返信があった。早いな、と思ってケータイを見る。
「お疲れさま。だいぶ遅いね。もう帰ってきたの? 気をつけて帰ってきてね」
 とまた短い返信だった。将太が「ホントうるさい母ちゃんだな」と俺のケータイを覗き込んでつぶやいた。こちらも
「これから帰るよ」と返信して、俺は車を再発進させた。

 あいつらがM村に行くと言った次の日の昼。明俊の親から俺の親伝いに連絡があり、
「明俊が昨日から帰ってこない。仕事も無断欠勤している。和樹は何か知らないか」
 そのメールで俺も明俊が帰っていないことを知った。俺は昨日の夜に会って話したこと、M村に行くと言っていたこと、実際行っていたらしくそのメールなどが来ていたことなどを端的に伝えた。
 そのあとすぐに明俊と将太にメールや電話をしてみたが、メールは送れるが、電話は圏外か電源が入っていないというアナウンスが流れ、ふたりと連絡は取れなかった。明俊とともに将太も帰っていないのだろうと思わざるを得なかった。
 俺の仕事が終わってから明俊と将太の親が俺と会って話したいというので、俺の職場近くのファミレスで明俊の両親と将太の母親、担当刑事2人と計5人の前で俺は昨日の夜の話をすることになった。いつもの会合があるので、ふだんはしないがメンバーには「今日は行けない」とメールをした。ほか二人も明俊と将太のことは気がかりだろうが、今はそっちに構っている場合ではない。
 成人男性の失踪事件はあまり警察も本腰を入れているとは思えなかった。担当刑事の明俊と将太の親を慰めるその言い方は、「遊びに出かけているだけですよ」というものだった。とくに将太のほうは家もよく空けるし、たびたび無断欠勤をしていたそうで、今回も職場の人は気にしていなかったそうだ。
 俺は少なくともほかの人との連絡を一切絶ってどこかに出かけるやつらじゃないし、昨日会ったときもそういった雰囲気ではなかったので、ちゃんとした捜査をしてほしいと、柄にもなく熱っぽく言った。昨日のメールのやり取りを刑事にも見せると、刑事の表情は少し険しくなったように見えた。まだ何かあったと判明したわけではないが、親のほうは気の毒で見ていられなかった。
 次の日、俺は会社を休んでM村に行くことにした。警察も俺の話を聞いてかM村で目撃情報を募ると言って捜査をしはじめたようだが、M村では先の殺人事件があり、住民からも「余所者がたくさん来ていたから、わからない」といった感じで有力な情報は得られなかったらしい。
 俺は将太と明俊のメールから行動をたどった。もちろん警察もやっていると思ったが、そうせずにはいられなかった。将太はついてこなかった俺を馬鹿にするつもりだったのか頻繁にメールを送ってきていたし、明俊も住民と話した内容などをまとめて俺に送ってきていた。
 M村の入り口にある看板。コンビニ。殺人現場。被害者の隣人のおばさん。海。しかし最後に行ったとみられる海は、海といっても特徴がある写真ではないし、海と言われてもわからないような真っ黒な写真で、最後に連絡してきたときは海辺にいたというのも特定の場所を示すには至らない情報に過ぎなかった。
まずは事件現場に行ってみた。その周辺で住民に話を聞いたが、やはりふたりを見たという情報は得られなかった。
 真夏の暑さが焦燥感をかきたて、不安が汗となって肌を流れた。手当たりしだいに聞いてもダメだと思ったので迷惑なのは承知だが『おばさん』を探すことにした。
 殺人現場の隣の家を訪ねたが留守で、しかたなくパート先のスーパーを探してみた。その村はスーパーと言えるものは2つしかなく、表札から名前を覚えてきて、住宅近くのスーパーを探し、比較的簡単に隣人のおばさんを探し当てることができた。
 そのおばさんは仕事から抜けて話を聞いてくれた。おばさんはふたりが記者と名乗っていて、信じたから話をしたのだと困惑した様子で語った。ふたりの代わりに謝って、俺はふたりがこの後どこに行くとか言っていなかったか、と尋ねると「いいえ」という残念な返事が返ってきた。ふたりの様子に変わったところはなかったか聞くと、「とくに」という平凡な返事しか返ってこなかった。それはよかったのかもしれない。ふたりの様子がおかしかったら俺は何で気づけなかったんだと自責の念に駆られていたことだろう。
 結局俺は何の成果も得られないまま、地元に帰ることにした。夕方、浜辺で海を見ようと横道にそれ、舗装されていない道を行き、海の見えるところへ出た。
 真っ赤な世界が広がっていた。暮れなずむ海が陽光でキラキラと輝き、空に穴をあけたように熱い太陽が目を刺した。波の音と潮の匂い。浜には砂と打ち上げられた流木や網の切れ端、酒の缶なんかがあって、全部がこの浜辺を構成する要素になっていた。ふたりもここへ来たのだろうか。海を見ていると目頭が熱くなり、しだいに涙がこぼれた。
 どうして帰ってこないんだろう。俺がもっと強く引きとめていたら、こんなことにはならなかったんじゃないか。何かの冗談なんだ。明日にはきっと帰ってくる。無事に帰ってきてほしい。いろんな思いが頭を駆け巡って、内側からガンガンとこめかみを打った。
 ひとしきり泣いたところに一人の男性がやってきた。それに気づいてあわてて涙を拭ったが、いい年のラフな格好のそのおじさんは、
「だいじょうぶ? どうかした?」と少し訛ったイントネーションで言ってきた。
「仕事で嫌なことがあって」俺は咄嗟に嘘をついて取り繕った。
「そう…。あんた、この辺の人じゃないよね。死にに来たんじゃないよね?」
 おじさんはとあっけらかんとして言った。
「なんで、死にに来たなんて……?」
「この辺崖が多いから。飛び込み自殺とかされると迷惑なんだよ」
 おじさんは迷惑そう、というよりは心配そうにそう言った。
「道、途中でなくなってるところがあるから、気をつけて運転するんだよ。ちゃんと帰んなさいよ。嫌なことがある日もあるけど、生きていればいいこともあるから、ね」
 おじさんは俺の肩をパンパンと叩いてその場を去った。俺の車の後ろに軽トラが停まっていて、おじさんはその車に乗り込んで走り去っていった。
 俺は死にに来たわけではないが、いまのおじさんの話で嫌な予感がした。おじさんに言われた通り、気をつけて帰ることにした。
 警察に進言しようと思ったが、担当刑事の連絡先などは聞いていなかった。明俊の親に聞こうかと思ったがどう取られるかという不安もあって、直接地元の警察署に問い合わせてみることにした。
 何事もなく地元に着き、警察署で担当刑事と会ったが、警察も地元の人に崖下に落ちたと見て捜査したほうがいいと言われたそうで、崖下を捜索するという方向で決まっていたらしい。明俊と将太の両親には告げないように、また危ないので君も勝手に捜索などには行かないようにと言われ、俺はとぼとぼと帰った。

 次の日。ふたりがM村へ行って3日後の昼。仕事中に明俊の母親から連絡があった。
 ふたりの乗った明俊の車が、崖下で発見されたとのことだった。
 M村付近の道路は敷設途中や崖崩れなどで分断された道などが多く、車は舗装されていない道路から突然空中に投げ出される形となり、落下し、崖下の岩礁に衝突。衝撃でふたりは死んだ。即死だったと思われる。
 当日中には引き揚げ作業はできないとのことで、次の日クレーン車による作業で車は地上に引き揚げられた。俺は引き揚げ作業には立ち会わなかったし、遺体とも対面していない。そんなことができるだけの精神力は、俺には備わっていなかった。
 ふたりの死は誰からも同情されなかった。M村で起こった事件を興味本位で訪ねて行った帰りに死んだのだ、と。事情をよく知らない人からも日にちと場所からそんな推測が流れた。「人の不幸を笑いに行って死んだんでしょ」と冷たい目で見られるだけだった。足跡をたどる工程でコンビニの記録などから酒を買ったことも判明し、飲酒運転だったのではないかとも噂された。「天罰が下った」なんて言う人もいたし、田舎の一本道を猛スピードで走りたい若者と同類にされたりもした。
 当然俺も「最後に会った知人」ということで、ほかの知り合いからは「なぜ止めなかったんだ」と非難に晒された。もちろん俺は「止めた」と反論したし、事情を知っている人は俺を擁護してくれもしたが、それでも辛かった。行くことを知らなかったふたりの両親も同じように、もしくは「なぜそのように教育したんだ」と非難されたことだろう。
 直接言ってくる人はまだマシだ。こちらが反論したり事実を付け足すのを聞いてくれる場合もある。ジロジロ見たり、指をさしたり、あることないことを噂しているやつらがもっとも厄介で不愉快だった。
 俺はふたりが死んで悲しんだことよりも、引き止められなかった自分のことや、彼らの死を悲しまない周囲に怒りを覚えた。
 しかし俺もM村へ野次馬に行った彼らの行動を肯定はできない。たった一つの行動で彼らのいままでの人生も人格も多くの人から否定されることとなった。その死を悼む人が減ってしまった。その事実は許しがたいが、世間がそこまで優しくはないのもまた事実だ。

 もし、これを読んだ人が軽い気持ちで悲劇のあった場所を訪れようと思うとき、その後のこと、周りの人のこと、自分の行動が他人にはどう思われるのか、ふたりや俺に起こったことを思い出して、よく考えてほしい。

森町将太と林田明俊の冥福を祈って。
                               市村和樹

あとがき
 事実を元に脚色しまくった作品です。殺人事件は私の趣味ですが、教訓に直接関係はない前半部分が長い。このような構成は映画「サイコ」と同じような形をとっている。つもり。
 明俊視点ももちろん和樹が書いたのですが、その内容を伝えたのは多くは将太です。怖い話でよくある「みんな死んだならいったい誰が伝えたの?」という不可思議を回避するためにメールで和樹に逐一報告していたという方法をとりました。もちろんこのような書き方はしていなかったと思いますが、将太語録はしっかり残っています。
 最後の和樹が周囲に感じたことは自分の経験が反映されています。一人歩きした噂が自分の元に来るときには内容が大幅に変わっていることはままあります。

 殺人事件の動機や裁判がその後どうなったのか気になる方はいらっしゃったでしょうか。一応考えてあるので以下に。
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 受山容疑者は取調べで立花桃江さんに好意を抱いていて、自分に相談もなく地元を出て行ってしまったことにずっと腹を立てていた。夏休みで桃江さんが戻ってきて、事件当日声をかけたがそっけない態度をとられて桃江さんを殺そうと自宅に戻って包丁を持ち出し、犯行に至った。裁判を見越してか、桜さんを襲った理由の細かい供述はされなかった。逃げた桜さんを追ってまで殺害したことなど、犯行内容の凶悪性と遺族の強い希望で極刑を求める検察側と、被告が心神喪失状態にあったことや自首したことを考慮して減刑を求める弁護側の主張が真っ向からぶつかる裁判となった。とくに心神喪失については「通報中の電話を切ることや犯行後に血を洗い流すなど冷静だった」という検察と、「社会的な立場がなく精神的に追い詰められているところ、好意を寄せていた桃江さんに拒否されて自暴自棄になった」という弁護側の主張が平行線をたどった。計画性について検察は「何年も前から機会があれば実行しようとしていた」と根拠に欠ける主張で、弁護側は「好意を抱いていた事実はあるが殺害は突発的だった」と計画性を完全に否定した。動機についても「桃江さんを我が物にしようという考えと、自分の犯行だと証言できる桜さんの口を封じようという自分勝手な犯行動機」と主張する検察に対し、「自分を否定した桃江さんと桜さんを殺せば自分が社会的に認められるとの妄想からいたった犯行」と犯行当時被告の精神状態が異常であったと主張する弁護側の意見は食い違った。裁判では心神喪失は認められなかったものの、殺害人数が2人ということと自首したことが考慮され、被告に無期懲役が言い渡された。遺族の強い希望もあって検察は「極刑が妥当」と控訴するとしているが棄却される可能性が高いと見られている。
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 自分は真面目な方で「お前といるとテンション下がるわ〜」と言われるような人だと思います。私よりも口うるさい人もいますが、和樹は私と同じくらいの真面目さんと思って書きました。明俊は将太ほど個性の描写はなかったものの、少し自分勝手なところがある程度の嫌味のある人を目指して書いていました。私は受山容疑者が精神異常者だと思って書いていました。馬鹿は死ななきゃ治らないと思うので死刑にしてください。嫌な事件でしたね。
 和樹が「精神力がないから」と明俊と将太の遺体を見なかったのは、友人の死を直視できないというのもあるでしょうが、私は真夏の車内で3日ほど放置された遺体の腐敗具合は見られたものじゃないと予想しています。和樹的にはもちろん前者でしょう。
 また例に漏れずわわーっと書いたので突っ込みどころが多いかと思いますが、なんとなく書きたいことは書けたので楽しかったです。結末は決まっていたのでふたりを(私が)殺すときはとても心が痛みました。結末を変えたいくらいに。しかし因果応報。自業自得。しょうがないですね。彼らが死んだことに心を痛めるためにも前半部分は必要だったのだと思っています。
 長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださった方、ここは見てないけど本編を読んでくださった方、本当にありがとうございます。あなたの人生の貴重な数十分を頂戴しました。少しでもあなたの心に残る作品になれたら嬉しいです。
【修正履歴】
2020.3.9
5年越しの誤字修正
2019.7.12
新聞エアプだったので新聞に関する表現を変えました。
他の部分の軽微な言い回しを変更しました。
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